大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)2377号 判決

原判決は、被告人の原判示酒税法違反の所為に対し懲役及び罰金を併科してこれに酒税法第六十条第六十三条を適用し、又刑法第四十五条第四十八条を適用して一個の罰金刑を科していること所論のとおりである。

しこうして原判決の認定した被告人の三回に亘る酒税法違反の所為に適用されるべき昭和二十四年法律第四十三号酒税法等の一部を改正する法律に依る改正後の酒税法に依ると、酒税法第六十三条は右改正前の同法第六十三条ノ二に該当し同法第五十二条の規定による命令又は同条の命令に基く処分に違反した者に対する罰則の規定であり、同法第六十条第一項若しくは第二項に違反した者に対し懲役及び罰金を併科することを得る旨を規定している法条は、右改正後においては同法第六十三条の二となつていることが明らかであるし、又右改正後の同法第六十六条の「但シ懲役ノ刑ニ処スル場合又ハ懲役及罰金ヲ併科スル場合ニ於ケル懲役刑ニ付テハ此ノ限ニ在ラス」との規定は同条所定の酒税法違反者に対し懲役と罰金を併科する場合にも罰金刑については、併合罪である各犯罪行為ごとに罰金刑を科すべく刑法第四十八条第二項の規定を適用しない趣旨と解するを相当とするのである。さもないと罰金だけを科せられる酒税法違反者には刑法第四十八条第二項の規定が適用されないのに、懲役及び罰金を併科される酒税法違反者には刑法第四十八条第二項の規定が適用されることとなり、税法本来の性格に反するし、併科の場合には罰金刑についても刑法所定の犯人の主観的要件に関する規定を除外する規定を全部適用しなければ一貫しない不条理を生ずることとなるのである。

しからば原判決が被告人の併合罪である各個の酒税法違反の所為を認定し、これに対し懲役及び罰金を併科しながら、酒税法第六十三条の二を適用しないで、同法第六十三条を適用し、又刑法第四十八条を適用して一個の罰金刑を科していることは、いずれも法令の適用を誤つたもので、原判決の右法令適用の誤りは判決に影響すること明らかであるから、これと同旨の論旨は理由がある。

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